「食の冒険」と「映え越え」

食を楽しむアイデア

フランス料理に魅せられる

 食べることに重きを置く旅をする私は、ついさっき「あ!それって、『食の旅人』だ!」と、自分を表す良いフレーズを思いついた。しかし、そのワードをネット検索してみると、そう名乗る方が結構出てきたので、生みの親が自分でないことに少しがっかりしている。以前友人に「凡人が思いつくことは、だいたいもう世の中に存在するよ。」と言われたことを思い出した。たしかに、こんな調理器具あれば便利だよね!ってものも、すでにどこかの主婦が開発し販売しているのだから、安易に大きな電球を頭の上に光らせるのはよそうと思った。

 ところで最近の私は「フランス料理」に魅力を感じている。一番の魅力は、作り方の想像がつかない事(笑)。何喰ってるかわかんないって、ワクワクしませんか?もちろん、いい意味で「調理のトリック」の事です。こんなに複雑な、奥行きのある味わいどうやって出してるんだろうとか、うますぎるソースを前に、どんな調味料や食材を使っているんだろうとか。あとは、私の勝手なイメージでは、フランス料理の一品って一皿に盛ってあるものすべてで作品だと思っていて、その全体的な味わいのバランスが、すごいなって感心してしまう。そして、盛り付けも、その店、その人の唯一無二な作品であり、「映え」を超えて、いわばアートだと思わずにはいられない。さらに、面白いのが、結構グロテスクな食材も使うこと。ジビエや内臓系、あるいは血、エスカルゴも。昔見たドキュメント系テレビのワンシーンで、厨房でシェフが向き合っている食材の中に小鳥(たぶん猟師が鉄砲で撃ってさ系)が並んでいたのを見たことがある。そんな「ワイルド」な食材をいかに繊細で美しい料理に仕上げてくるのかも、見どころであり、ドキドキワクワクな食の冒険だったりもする。

 さて、フレンチのことなんて語ったりして、どんだけ!思うかもしれないが、何を隠そう私は上流階級でもなければフランス料理店に通う本気の美食家でもありません。むしろ、マナー良く分かっていないので、ナイフとフォークあたふたするタイプ人間である。一通り料理を平らげて、最後に残ったこのナイフは、いったい何用だったのだろうとモヤモヤしたり。しかし、日本は優しい(たぶん)。素人の私がフランス料理を味わうために一押しなのは、地方にあるリゾートホテルなどのコースディナーである。堅苦しいドレスコードなどもある程度緩和されていたり、中には館内着OKのところもある。「箸で食べるフレンチ」というワードが出てきたら尚嬉しい。しかも、一泊二食で温泉付きで二~三万円以内なら、なんだかお得に感じてしまうのは私だけだろうか。そんなわけで、フランス料理を食べるなら、最近は専ら宿泊施設のプラン一択なのである。

 まずは見た目で気分が上がる。器もさることながら、その盛り付けのセンスに期待が膨らむ。時に見た目から味の想像がつかないのも魅力である。想像と実際に口にして知る味の乖離が、驚きを増し、思わず笑みが出る。食べることを楽しんでいるその自覚が幸せ。私にとっての最高のエンターテイメントである。そして、いわずもがな、ワインが進むのである。

はたして、これが何だったのか・・・(失礼)
サクラマスのマリネ ホワイトアスパラを添えて・・・
この泡状のモノは・・・なんだっけか・・・

あまり良くないことだが、普段私は早食いだ。特に美味しいものは、のどが迎えに来るので、ますます吸い込みが早い。しかし、このようにフレンチのコース料理となると、一品一品を味わいたい、探りたい気持ちが、食べるスピードをセーブしてくれるので良い。ただし、ワインの飲むスピードは増すので注意が必要。

たぶん人生史上一番おいしかったブイヤベース。絶品すぎる。

このようカウンターなかなか良い。庭を眺めながら、日が暮れると、キャンプファイヤー?焚火?のような演出も登場するから、雰囲気が最高。大人の贅沢をかみしめ、次の一皿を待つ。

数年前にお邪魔した、フレンチプランのあるこのホテルは「函館大沼 鶴雅リゾートエプイ」である。ホテル全体的にロケーションが良い。沼と言っても湖のような感じで、桟橋を通ってたどり着く、沼の上のテラスは360度パノラマで、開放感が半端ない。館内もいいムードがあって、こういうのなんていうんですかね?クラッシックと地元の文化が溶け込んだ内装が大人な時間を感じさせてくれる。・・・隅っこでワイン飲みながら必死こいてゲームやってる・・・人それぞれ、過ごし方は自由である。

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